2015年は収穫終了時の段階で、過去に例が見つからないほど多くの賞賛の声があがったヴィンテージである。ドイツ・ワインインスティトゥート(DWI)の報告によると、全ての生産地方でトップレベルの品質のぶどうが収穫できたという。

醸造家たちに歓びをもたらした 2015年ヴィンテージ

01/14/2016

2015年は収穫終了時の段階で、過去に例が見つからないほど多くの賞賛の声があがったヴィンテージである。ドイツ・ワインインスティトゥート(DWI)の報告によると、全ての生産地方でトップレベルの品質のぶどうが収穫できたという。

2015年は、健全かつ充分に成熟した、非常にアロマ豊かなぶどうが収穫できたため、フルーティさ溢れるバランスの良い白ワインと、凝縮感に満ちた豊かなボディを持つ赤ワインが期待できる。加えて2015年ヴィンテージは、アウスレーゼからトロッケンベーレンアウスレーゼに至る、数多くの高級甘口ワインの醸造を可能にした。 最新報告(11月上旬)によると、ドイツ全体での総収穫量は約900万ヘクトリットル(モストの量)になるとの予測が出ている。この数字は過去10年平均のレベルであり、昨年の収穫量をわずか2%下回る。非常に乾燥した夏であったため、各々の醸造所の畑の、土壌の水分を蓄える能力とぶどうの樹齢が、収穫量に大きな影響を及ぼした。また個々の生産地方において、収穫状況に違いが見られた。13生産地方におけるそれぞれの状況は以下の通りである。


2015年ヴィンテージ 生産地方別レポート

アール地方:順調なヴィンテージの偉大なワイン

アール地方では、醸造家たちの血圧を上げるような極端なヴィンテージはまれである。植生期間は、とりわけ手間がかかる作業もなく順調だった。8、9月には待望の降雨があり、おかげでぶどうはダメージを被らずにすんだ。9月早々、早熟品種のミュラー=トゥルガウとフリューブルグンダーを健全な状態で収穫することができ、9月中旬から本収穫がスタートした。晩熟品種のシュペートブルグンダーなどは、好天の恩恵を充分に受けることができた。醸造家たちの話によると、2015年産は高品質、ないしは極めて高品質であり、果実味に溢れ、均整がとれたワインになるとのこと。赤ワインは色が濃いものに仕上るという。収穫量は4万2千ヘクトリットルで昨年値を僅かに下回った。夏場の乾燥によりぶどうが小粒に留まり、モストの量は少なめであった。

バーデン地方:理想的な秋、収穫量は少なめ

バーデン地方はドイツのワイン産地の中で、南北間の距離が最長であり、気候もそれに従って地域差が大きい。しかし8週間にわたって続いた夏場の猛暑と乾燥は、どの地域にも共通したもので、気温も40度に達する日が多かった。例外的な猛暑に襲われ、忘れられないヴィンテージとなった2003年を思い起こす者も多かった。カイザーシュトゥール、トゥニベルク近郊地域は、5月13日に激しい雷雨と雹害に襲われた。2015年ヴィンテージの生育は当初から、各段階において平年よりも時期を先取りしていた。植生期間は地域により平年より10日早かった。開花は5月末で、6月10日には咲き終わった。最も樹齢の高いぶどう畑は、乾燥に充分耐えたが、最終的には土壌の質に左右された。ぶどうの粒は例年より小さく、得られた果汁も平年より少なめだった。バーデン地方の収穫量は116万ヘクトリットルにとどまり、前年より10%以上少なかった。この値は長期的平均値と比較しても明らかな減少である(マイナス6%)。本収穫は好天に恵まれた9月14日から10月の第1週にかけて順調に行われた。極めて健全で、理想的な状態に成熟したぶどうが収穫できたため、高品質でフルーティさに富み、優れたストラクチャーを持つ白ワイン、力強く、濃い色の赤ワインが期待できる。酸度も消費者の好みに適した範囲内であった。

フランケン地方:プレディカーツワインの割合が多い、乾燥した年

気候変動はフランケン地方においても醸造家たちに新たな試練をもたらした。2015年は過去40年間において、最も乾燥のひどい年のひとつに数えられる。将来的には、極度な乾燥に襲われても2015年のように高品質のぶどうを収穫することができるよう、急斜面の畑への灌漑を検討する必要があるだろう。 2015年の天候によく耐えたのは、ブルグンダー系品種(ピノ系品種)、リースリング、ジルヴァーナーで、極めて品質が良かった。2月から8月にかけては雨量が非常に少なかったが、樹齢の高い畑では、ぶどうの根が深いところまで張っているため、水分を充分吸収することができた。若木の畑では、2、3回にわたって水遣りが必要だった。幸い2015年は雹害や極端な悪天候には見舞われなかった。8月中旬には長雨に見舞われ、植生には恵みの雨となった。寒波もタイミング良く訪れ、ぶどうは収穫時点まで健全な状態が保たれた。この年フランケン地方の醸造家たちは、モストの量に換算して約44万ヘクトリットルを収穫した。平均糖度は89エクスレで、収穫のほぼ4分の3がプレディカーツワインレベルであり、その割合は2014年よりも多かった。乾燥に見舞われたため、収穫量は長期的平均値を約2%下回り、昨年比では6%減少した。しかし2015年の収穫は高品質であるため、減少分は品質の良さでいくぶん補えるだろう。長期熟成が可能なエレガントでフィネスに富むワイン、品種の個性がよく表現された、アロマ豊かでミネラリティ溢れる酸味を持つワインが出来るものと期待されている。

ヘッシッシェ・ベルクシュトラーセ地方:凝縮したアロマとハイレベルの糖度

ヘッシッシェ・ベルクシュトラーセ地方の2015年の収穫量は3万ヘクトリットルにとどまり、長期的平均値を約2%下回った。同地域の大規模な醸造所では、収穫量が平年より10%減少したところもあった。しかし完熟したぶどうは例外的と言っても良いほど高品質であった。平均糖度は91エクスレに達し、この値は過去の最良ヴィンテージである2009年、2003年、1976年、1959年を上回っている。開花が早かったこともあり、醸造家たちは当初、夏場の乾燥がぶどうに悪影響を及ぼすのではないかと心配していた。しかし8月と9月は、ほどよい間をおいて雨にも恵まれ、ぶどうはバランス良く生育した。早熟品種も早い時期に理想的な糖度に達し、その値はさらに上昇した。10月12日に収穫したヴァイスブルグンダーのトロッケンベーレンアウスレーゼは198エクスレで、糖度における最高値を記録した。醸造家たちは、アロマ豊かでボリューム感と重厚感のある白ワイン、凝縮度の高い優れたストラクチャーの赤ワインができるものと期待している。天候に恵まれれば、アイスワインの収穫も可能かもしれない。

ミッテルライン地方:極度な乾燥、見事な成熟

ミッテルライン地方においては植生期間中、5月の雷雨を除いて降雨に見舞われることがなかった。思いつく限り、最も乾燥した年のひとつであると言えよう。樹齢の高い畑では、土壌の深いところまで根が張っているために、水分不足にはならなかった。若木の畑では、乾燥を防ぐために灌漑が必要だった。この極度な乾燥気候のおかげで、特筆すべき病害に襲われることはなかったが、ぶどうは例年よりも小粒だった。開花期には理想的な条件がそろい、実のつき具合も良く、その後の成熟も申し分なかった。収穫は滞りなく行われ、総収穫量は3万5千ヘクトリットルを記録。長期的平均値を19%上回り、前年比22%増となった。この収穫増は価格の高騰を抑えることになるであろう。調和した酸味と低アルコールが特徴の、バランスの良いミッテルライン・ワインに期待が寄せられている。

モーゼル地方:当初の懸念に反し、偉大なヴィンテージに

モーゼル、ザール、ルーヴァー地方の醸造家たちは、9月に入ると心穏やかではなかった。2014年のように降雨に見舞われ、急ピッチで収穫しなければならないのではないかとの憂慮があったのだ。しかし2015年には「ゴールデン・オクトーバー」と呼ばれる晴れ晴れとした10月がおとずれ、あらゆる懸念を吹き飛ばしてくれた。冷涼な夜と、雨に濡れたぶどうを乾かしてくれる東からの風のおかげで、収穫期のぶどうは健全かつ完璧な状態だった。9月中旬には早熟品種の収穫がはじまった。本収穫は9月末に開始され、まずミュラー=トゥルガウ、続いてブルグンダー系品種とエルプリングの収穫が行われた。10月の第1週と第2週は、見事な秋晴れに恵まれ、リースリングの収穫が始まった。急斜面の畑のリースリングの収穫は11月上旬に行われた。全体的には収穫は滞りなく行われ、サンプリング調査からも非常に高品質のワインが期待される。リースリングの糖度は平均値で85エクスレ、即ちシュペートレーゼのレベルに達した。2015年は偉大なヴィンテージに数えられ、アイスワインの収穫も期待されている。数多くの醸造所がアイスワイン用のぶどうを畑に残している。唯一の問題点は、多くの地域において収穫量が前年を下回ったことだった。モーゼル地方全体の収穫量は79万5千ヘクトリットルで、長期的平均値を3%下回った。前年比では8%の減少だった。2015年ヴィンテージはフルーティーで、甘味と酸味のバランスが良い、非常に調和のとれた白ワインが期待される。同地方の赤ワイン生産量は全体の10%だが、色に深みのある良いワインとなりそうだ。ワイン愛好家もモーゼル地方を訪れるツーリストも、極めて高品質の2015年産ワインを味わうことができる。

ナーエ地方:スピーディな成熟

ナーエ地方の2015年の収穫量は34万ヘクトリットルで前年並み、長期的平均値をやや上回った。醸造家たちの心配の種は猛暑と乾燥だった。このような天候が続くと、ぶどうの成熟に拍車がかかり、特に早熟品種は酸度が極端に下がる恐れがある。しかし早期に収穫を行ったため、例えばリースリングにおいては理想的な成熟度と適度な酸度を持ったぶどうが得られた。糖度は良好で平均値を上回った。リースリングは90エクスレ、あるいはそれ以上の糖度を記録、シュペートブルグンダーは115エクスレに達した。2015年ヴィンテージはフルーティでエレガントな白ワイン、凝縮した力強い赤ワインが期待されている。現地からは「ベーシックなワインにおいても、価格に見合う以上のハイレベルの品質のものが入手できる」との報告が届いている。

ファルツ地方:猛暑が生んだ偉大なワイン

ぶどうの新芽が顔をのぞかせた4月の時点で、ファルツ地方はすでに例年にない乾燥に悩まされていた。4月は長期的平均よりも46%もの降雨量不足、5月は60%の不足だった。夏の間は常に乾燥状態が続き、7月と8月は猛暑に襲われた。しかし8月下旬に降雨があり、そのために気温が低下し、ぶどうは乾燥によるストレス、糖度の極端な上昇を免れた。ぶどうは健全な状態で成熟し、急ピッチではないものの、早い時期に短期間での収穫が行われた。2015年産はあらゆる点において理想的な条件が整い、ワインへの期待は大きい。赤品種は乾燥と猛暑をものともせず、ボリュームのある洗練されたワインができる見込みだ。甘口ワインはボリューム感豊か、リースリング、ブルグンダー品種などは酸度のバランスが良く、エレガントで滑らかなフルーティさを持つワインとなるであろう。アロマ系品種のゲヴュルツトラミーナ、ショイレーベ、ソーヴィニヨンブランは、このような厳しい気象条件下で、それぞれのポテンシャルを発揮した。ファルツ地方の収穫量は220万ヘクトリットルで、長期的平均を約1%下回る程度であった。砂質の土壌では、ぶどうが土中深くまで根を張り、水分を吸収することが可能な土壌と比べて、収穫量が少なかった。

ラインガウ地方:極度な乾燥、ハイレベルの品質

ラインガウ地方は、4月に霜がおりるほどの寒波に見舞われ、醸造家たちを驚かせた。幸いにも、以後そのような寒波は到来せず、夏場は長期間にわたる乾燥に悩まされた。収穫量は20万5千ヘクトリットルにとどまり、長期的平均値を約8%下回った。根が地中深く張った樹齢の高いぶどう畑では、降雨不足は問題にならなかったが、若木の畑では部分的に乾燥による悪影響が見られた。9月中旬以降は充分な降雨があり、粒の成長が促進され、果皮に亀裂がはいりやすくなり、ボトリティス菌のつきやすい状況となった。2015年ヴィンテージは、全体的には非常に健全なぶどうが収穫でき、ハイレベルの甘口ワインが期待できるほか、辛口、中辛口ワインも高品質となった。ほとんどの畑で、リースリングの通常の収穫期である10月上旬に収穫がスタートし、理想的な糖度が得られた。ぶどうは健全で、多くの生産者がアイスワインにも期待を寄せている。2015年ヴィンテージのラインガウワインはエレガントで、酸度のバランスが良く、アロマ豊かでフルーティ。飲み手をうならせる出来が期待されている。

ラインヘッセン地方:理想的なヴィンテージ、ただし差異も

ドイツ最大のワイン生産地ラインヘッセン地方では、地域により収穫期までの天候条件などに大きな差異がみられた。特に夏場の乾燥は、地域により全く異なる影響を及ぼした。水分を保持しやすい重い土壌では、水不足の問題はほとんどなかった。同地方南部では、収穫が早めに開始され、収穫量は北部より多めであった。ほぼどの地域においても、ハイレベルの糖度を持つハイクラスのぶどうが収穫できた年だった。9月は完璧な申し分ない収穫月となった。日中は大抵暖かく、夜は気温が下がり、ぶどうは健全な状態で凝縮感のあるアロマを蓄えることができた。9月半ばになると降雨に見舞われ、1平方メートル当り最高30リットルの降雨量を記録したが、冷たい北風がぶどうを素早く乾燥させたため、腐敗は免れた。一部では非常に高い糖度を記録しており、高級甘口ワインも生産されることになるであろう。2015年の収穫量は長期的平均値をやや下回り、250万ヘクトリットルにおよぶものと予測される。ぶどうは完熟し、色の濃い力強い赤ワイン、フルーティで酸度のバランスが良い理想的な白ワインが出来るであろう。クラシックで洗練された、アロマ豊かなラインヘッセン・ワインが期待されている。

ザーレ・ウンストルート地方:冷涼な北部でハイレベルのヴィンテージ

ザーレ・ウンストルート地方では、夏の暑さは30度程度にとどまった。40度を記録する日が何日もあったドイツ南西部の醸造家たちが夢に見るような、理想的な天候である。ドイツ最北のワイン産地であるため、極度な気温上昇を免れたのだ。代わりに4月末から5月中旬にかけて、幾度も夜の気温が下がり、晩霜のリスクに見舞われた。6月末には「羊の寒波」(6月中旬頃、気温が5度前後に落ち込む極端な寒波のこと)に見舞われ、ぶどうの成長が遅れることとなった。夏場は乾燥がひどく、畑によっては深刻な問題となった。6月には、フライブルク近郊が強い雨を伴う雷雨、雹害に見舞われたものの、状況はさほど好転せず、9月に入ってようやくおとずれた降雨が事態を改善した。9月末に開始した本収穫は順調で、健全で見事に熟したぶどうが収穫できた。10月11日と12日は、記録的な大雨に見舞われ、夜には霜がおり、降雪も見られた。そのため、10月半ばには大部分の収穫を終えることとなった。10月末はそれまでの悪天候を挽回するかのような好天に恵まれ、ハイレベルの糖度のぶどうを収穫することができた。収穫量は5万5千ヘクトリットルで、大部分がプレディカーツワインレベルとなった。(2014年は4万3千ヘクトリットル)新酒はフルーティさに溢れ、酸度のバランスが良いワインに仕上っている。

ザクセン地方:雹害にもかかわらず安定した収穫

2014年はザクセン地方の醸造家にとって、極端な天候に悩まされた1年だったが、2015年もチャレンジの年だった。9月上旬にはマイセンとヴァインベーラの辺りが強雨と雹を伴う悪天候に見舞われ、ぶどう畑に被害を及ぼした。早熟品種は緊急に収穫する必要があった。悪天候に見舞われる以前、若木の畑では乾燥によるストレスの兆候があった。ザクセン地方でも他の地方と同様、春先から極度な乾燥が続き、夏は非常に暑かった。8月7日には同地の年間最高気温である38,6度を記録した。全体的にはぶどうは完熟し、健全な状態だった。10月中旬には思いがけず早く寒波が訪れ、霜がおりるという痛手に見舞われ、多くの畑でぶどうに被害を及ぼしたため、収穫を早めに終えなければならなかった。ザクセン地方はドイツ最東部にあたるが、ここでも収穫ぶどうはプレディカーツワインの割合が高く、2015年は非常に良いヴィンテージとなるだろう。収穫量も申し分なく、2万4千ヘクトリットルに達し、前年の収穫量をはるかに越えた。

ヴュルテンベルク地方:理想的な条件が整い、上々の成果

ヴュルテンベルク地方は例外的に早い開花期を迎えたが、天候に恵まれ、植生期間中を通して、ぶどうは健全な状態を維持することができた。ただ、乾燥には悩まされた年で、降雨量は通常の約半分に留まり、不安要因となっていた。若木の畑と土壌が軽めの畑では灌漑が必要であったが、最終的に得られたモストは非常に高品質であった。暑さを好む赤品種は、夏場の猛暑の襲来により、糖度をしっかりと上げることができた。例えば、シュヴァルツリースリング(ピノムニエ)は10年平均値よりも10エクスレ高い糖度で収穫することができた。2015年ヴィンテージは、どの品種においても充実した果実味が期待できる。収穫量は120万ヘクトリットルで、長期的平均値を11%上回り、昨年比では16%の増加だった。収穫は例年より早い9月中旬に始まり、10月半ばにはほとんどが終了、充分に熟した非常に健全なぶどうが収穫できた。トロリンガーはシュペートレーゼ級から90エクスレの間の糖度で収穫できた。2015年は赤ワインが優位に立つヴィンテージとなったが、リースリングの成熟も見事で、素晴しい品質となっている。

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